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トルトを通じた顧客の見える化 〜訪問リハビリでの活用事例〜

御所南リハビリテーションクリニックは設立が2013年の比較的新しいクリニックで、名前の通り京都御所のすぐ南に位置しています。訪問リハビリは15名体制(理学療法士11名、作業療法士3名、言語聴覚士1名)で運営されています。グループ全体(京都大原記念病院グループ)では300名程のスタッフを抱え、グループ内でのスタッフ入れ替えは多く、その都度教育や情報の共有が課題とのことです。そのためスタッフの質の向上、利用者様の新規獲得のためにも、事業所の質の維持を意識した運営をしておられます。
CareWizトルト(以下「トルト」)は2022年6月からご利用開始し、2023年6月からは口腔分析機能も追加導入いただきました。
今回は訪問リハビリ事業所長の加納様にお話を伺いました。


トルトを導入してよかったことベスト3

ートルトを導入してよかったことを教えてください
はい、一つ目は顧客の見える化です。
訪問リハビリあるあるなんですが、訪問したスタッフしかご利用者のこと知らないってことが結構あります。そのため、担当スタッフが個人で対応するのではなく、事業所単位でリハビリ担当できるようにすることが課題でした。トルトを導入することで、訪問したスタッフ以外の全スタッフが利用者の状態を動画と分析結果で把握できるようになり、「顧客の見える化」ができました。これは大きな変化でした。
そして見える化ができると、リハビリの進捗状況や、管理者・リーダー・スタッフ間の情報の共有ができます。
さらにスタッフのフォローができる体制が構築されます。利用者様の状況(例えば利用者様の現歩行状況)についてトルトを使って会話ができるのできめ細やかなフォローに繋がります。

トルトの分析結果をタブレットで確認・印刷し顧客の見える化!

また情報のアップサイクルにも役立っています。トルトで見える化ができているので、それを事業所で共有し、皆でその情報を分析し、付加価値をつけてまたその情報を使うことができます。まだまだ安定した見える化は完成しておらず推進中です。
ートルト情報のアップサイクルにより、付加価値がついたケースがありましたか?
はい、目標達成したため、訪問リハビリを卒業するケースがありました。
ご利用者から(色々な説明や生活から)回復したのはわかるけど実感がなく不安との訴えがありました。
そこでトルト導入前の過去動画があるのがわかり、その動画トルトで分析を行い、比較して説明を行いました。
動画を視覚的に、またそれに直結する点数で理解されたことでご納得され、円満修了に繋がりました。
ーすばらしい!トルトを使って経時変化が見えることで説得力が増したんですね!

顧客の見える化
・事業所単位で顧客管理できる体制の推進
・見える化によるリハビリ進捗確認や共有
・スタッフフォロー体制の構築
・情報のアップサイクル

二つ目はコミュニケーション促進です。
事業所内での申し送り、リハビリ指示医への報告、ご家族への進捗報告、担当居宅との進捗確認・共有、その他サービス担当者との連携時のコミュニケーションに役立っています。
ー具体例はありますか?
事業所内ではトルトを使ってしゃべることがすごく増えました。若いスタッフなんかも「今日トルトで分析したんですが、ちょっと見てください」という感じに、トルトをきっかけとしたコミュニケーションが促進されています。
ー若いスタッフさんは何を見て欲しかったのでしょうか?
若いスタッフは、自身の評価や分析の助言や承認をして欲しかったんだと思います。例えば、下肢装具の評価・選定時にトルトを使用します。A装具の歩行、B装具の歩行、C装具の歩行など、複数の歩行をトルトで分析します。そして総合点・詳細点の比較と動画で先輩後輩スタッフと一緒に評価・分析を行います。そうするとその他評価と合わせ、医師との連携まで行えます。

コミュニケーション促進
・事業所内での申し送り
・リハビリ指示医への報告
・ご家族への進捗報告
・担当居宅との進捗確認、共有
・他サービス担当者との連携

分析結果を共有し、コミュニケーションシートが促進されます

三つ目として顧客の反応があります。とてもうれしいことなんですが、 「いいね!」「分かりやすい!」とか「今回はどうなってる?」など反応がすごくいいです。「維持できていてよかったわ」「また頑張るわ」など活動意欲にもポジティブに働いています。

トルトを使いこなすための活用術のご紹介

ートルト導入時期の活用術を教えていただけますか?
事業所での投稿数増加を目標として3つのサイクルをイメージして使っていました。
まず、業務へ組み込むことへの取り組みです。トップダウンで上から使うように言ったところでやはり使う人と使わない人が出てきてしまいます。
なんとか前向きで使えないかと考え、まずは業務への組み込みを試みました。訪問リハビリでは3カ月に一度定期的に身体評価をしているんですが、定期評価項目にトルトを取り入れることにしました。そうすることで一定の強制力を持たせることができます。
とはいえ”やらされ感”を持たせるのではなく、スタッフが自主性に取り組めるようにするため、導入の意図や使い方、活用方法を丁寧に伝えました。そうすることで、訪問時にトルトを使い、それについて話すことに繋がります。定期的な評価項目にまでは至っておらず、まだまだ課題が山積みなのが現状です。それでも情報の見える化やコミュニケーションツールとしての使い方が先行し、分析動画を用いてスタッフ間で話し、在宅リハビリでの活用や連携のフローを組むのに役立っています。
※トルトは分析した動画を閲覧したり、分析結果レポートを見ながら会話することができます。

ースタッフさんへの伝え方のコツなどがあれば教えていただけますか?
スタッフへはルーティン業務とは別に、スタッフが主体的に使用できるように、何に使えるのか?どう使えるのか?をスタッフの状況に合わせ、提案してあげることが必要と思います。
例えば先日面談で「訪問へ異動してから、自分の行っていることが正解かどうかわからないのです・・」と相談がありました。
そのスタッフには「情報共有ツールとしてもトルトを積極的利用して利用者を可視化しよう。それをもとに相談や報告することで、様々な助言や見当もできるし、今の不安が少しでも解消できることにも繋がるよ。」と説明しました。

ー忙しい訪問業務中で負担感はあるのでしょうか?またどれくらい時間を要していますか?
そうですね、やはり個人により異なります。負担に感じるスタッフもいれば、前向きに使用してくれるスタッフもいます。
時間で言うと、ご利用者への平均訪問時間は約40分/回です。トルト初回の方はトルト・個人情報の説明、情報登録・動画撮影、アップロードなどで10分ほどかかります。電波状況・その場で説明するか否かにもよります。ルーティンで撮る場合は、5分程度かと思います。

とにかく、こういう循環を続けながらサイクルをぐるぐる回していきました。その後、ある一定のところで現場リーダーへ推進者としての役割を渡しました。
まだまだスタッフの中で使いこなしの面で差はありますが、現場リーダーを中心にこのサイクルを回し続け、更なる浸透を目指しているところです。
ー「ある一定のところ」とはどんなタイミングでしょうか?
現場リーダーが使い方を理解して、トルトを用いてコミュケーションをとれるようになったタイミングです。現在、この推進者としての役割は自分に戻ってきていて、再度渡す準備をしています。

投稿数増加を目標とした3つのサイクル。到達に向けて現在進行形です。

ー最近口腔分析機能を導入されましたが、目的は何でしたか?
訪問リハビリSTは人員がかなり少ないので、その足りない人員のフォローと、顧客の獲得の観点から導入しました。
250人ぐらいのご利用者様のうちST(言語聴覚士)を派遣しているのが1割ぐらいです。あとの9割はPT(理学療法士)やOT(作業療法士)が訪問することになりますが、摂食嚥下に関する評価、予防が必要です。トルトの口腔機能分析を使うことで、「今週ちょっと低いな」とか「今週いい状態だな」と評価が可能になります。人員が足りないところはAIが補って共有できるわけです。そうすることで顧客に還元できます。さらにはケアマネジャーに情報を共有できるので顧客の獲得にもつながります。3方向、4方向に使い道があります。これが口腔分析機能を導入した理由となります。

大丸京都店とのコラボイベント

2023年9月29日(金)~10月2日(月)の4日間にわたり大丸京都店とコラボイベント「第2回 元気に暮らすヒントが得られる!おおはら知恵袋」が開催されました。

大丸京都店とのコラボイベント「おおはら知恵袋」会場の様子

ーどんなイベントでしたか?
京都府は実は健康寿命と平均寿命のとの間のかい離が課題になっています。
※健康寿命は、女性が73.68歳と47都道府県で最も短く、男性は72.71歳で19番目、一方で平均寿命は男性4位、女性3位と上位になっています。
それで大丸京都店とコラボすることで「健康無関心層」へのアプローチにつながることを期待して企画しました。今回は今年5月に続く第2回目の開催でした。

ーどんな内容ですか?
合計12回のセミナーに加え、カラダ測定コーナー、認知機能セルフチェッカー体験、農業のバーチャルリアリティ(VR)体験、脳卒中啓発コーナーを企画しました。その中のカラダ測定コーナーでトルトを利用しました。
測定はトルトに加え運動機能分析装置ザリッツ+体組成計で実施し、セラピストによる説明を入れました。測定後セラピストがトルトの分析結果を動画と共に閲覧し、ザリッツ、体組成計、ご利用者のエピソードを肉付けして分析・フィードバックを行うブースとなりました。

タブレットを使って撮影
大丸京都店とのコラボイベント「おおはら知恵袋」での加納様

ーすごいですね!反応はどうでしたか?
測定4日間で135名の方に実施できました。トルトについては、一般参加の方も応援に来てくださったドクター、グループ内スタッフから非常に反応よく好印象でした。各評価が面白そうで、「こんな評価してもらえるんや」と興味を持ってもらったり、「分析結果と自分の感覚が合っていたので参考になりました」など、いい反応を頂いています。
デパートに来るぐらいなので、平均してレベルは高く、トルトの平均点数は16~19点くらいでした。このレベルになると、ほぼリズム・左右差の減点もしくは歩行速度の1点減点程度です。
気づいた点ですがトルトと体組成計の相性がよかったです。体組成結果がトルト結果を反映していたので深く分析するのに非常に役に立ちました
レベルの高い方でも、ご本人のエピソード(以前のケガ、傾いているのではないか?、何か姿勢が変?)をトルトが正確に反映してくれているなと感じ、併せて正確に撮影することが大切だな・・・・と改めて感じました。

ーなるほど、一つの分析結果に頼らず多角度での考察に繋がったんですね!

インタビューを終えて
今回は御所南リハビリテーションクリニック様にお話を伺いました。トルトを導入後、いつも新たな活用アイデアを発信してくださっています。こんな風に現場を回しながらその気づきから生み出されているんだってことがよく分かりました。突っ込んだ質問にも丁寧に回答してくださり本当にありがとうございました!

今回のインタビューは「御所南リハビリテーションクリニック」様にお伺いしました。
〒604-0971 京都府京都市中京区桝屋町327
https://goshominami-clinic.jp/

御所南リハビリテーションクリニック外観